田んぼビューでモーニング
翌朝も清々しいほどの晴れ。
風はけっこうあるけれど、陽の当たるところは朝でもすでにかなり暑い。
朝食は、1階にあるテラスで。
この飾り、ちょっと中国の旧正月飾りみたいで、不思議なリンクがおもしろい。
朝食は7:30~。なるべく朝涼しいうちに遺跡に行きたかったので、一番早い時間にお願いすることに。
出てきた朝食が、想像以上に豪華!
フルーツ3種類、トーストにジャム、スリランカのローカルスイーツ、目玉焼き。
左奥は、昨日の朝食にも食べた、ココナッツシュガーが巻かれたパンケーキ。
その右は何かの葉っぱに包まれたもち米。ちょっと小豆っぽい色をしていたけど、味はほとんどなし。
手前の白いものもココナッツ味の、うっすら甘いもちもちとした炭水化物。
私は「噛むと甘くなる炭水化物」が大好物なので、スリランカのローカルスイーツはどれも美味しくて最高!ココナッツ味が苦手な方は、要注意かもしれません。
量もたっぷりで、お腹いっぱいでした。このホテルの朝食は本当におススメです。
自転車でポロンナルワ遺跡へ
朝食後、チェックアウトして荷物を預けて、遺跡観光に。
昨日のミヒンタレーとアヌラーダプラはトゥクトゥクで巡りましたが、今日はホテルで自転車を借りてみることに。
ここのホテルの自転車はアヌラーダプラのホテルと違ってちゃんと整備されていて、かなり乗りやすかったです。ちなみに昨日も今日もカギはなし。自転車を盗まれない国なのか?!すごい。
まずはチケットを買いに、博物館へ。
チケットは35US$。クレジットカードが利用できます。たしかVISAとマスターズのみ。
博物館内には地図や石像が展示されていますが、冷房がなくて蒸し暑いのでほとんど意識がなく、気を失いかけながら外へ……
(ここには綺麗ではないですがトイレがあります。遺跡内はかなり広範囲を移動するので、行っておいた方が無難)
ここから大通り沿いを自転車で北上。
途中、入り口らしきものを右側に見かけ、一瞬悩んだものの、Googleマップに従って15分ほど走り続けます。
道端には絵画を売っている人も。
すると、途中で左手に広々とした遺跡がありました。
誰もいないうえに『地球の歩き方』にもなにも載っていませんでしたが、碑によるとここはポロンナルワ最大のヒンドゥー教寺院なのだそう。シヴァ寺院とヴィシュヌ寺院の複合施設、と書いてありました。
ポロンナルワは13世紀に南インドのヒンドゥー教徒に支配されたので、そのあとに建てられた遺跡でしょうか。
遺跡地区のエリア外なので、誰でも入れます。
奥まで行くと、どこからかふたりの少年が。挨拶されたので朗らかに返したら、ちょっと考えて「マニー?」と言われて笑ってしまいました。
「何かをした対価を正当以上に求める」ぼったくりと違って、出会い頭にMoneyを求める行為って、意味が分からな過ぎて笑ってしまう。何にもしていないんだからぜったいに無理じゃん。どこでそんな方法を学んだんだろう。
しつこく追いかけてくることはなかったので、笑いながら無視したら去っていきました。ちなみにぼったくりは何度かありましたが、乞食行為はここが唯一。
世界遺産指定されて外国人が増えると、こういう文化も発生してしまうのは仕方ないのかな。寂しい後味。
気を取り直して道を進むと、10分ほどでGoogleマップの指す「ゲート」が。
――ここで衝撃の事態――なんとこのゲート、「出口専用」でした……。Googleマップにはどうやら、エントランスとエグジットの概念が無いよう……。
あっちまで戻って、と言われ、気分は『寂しい後味』どころではなくどん底。朝9時半でもかなりの暑さなうえに、20分以上自転車で走ってきて汗だく。
半泣きになりながら道を戻って、今度こそ入り口に。
自転車で向かわれる方は、博物館や『地球の歩き方』で入り口の地図をしっかりと確認して、Googleマップに騙されないようお気を付けください。
ちなみに、入り口向かいにはレンタサイクル屋さんがあり、いろいろな種類の自転車が借りられるようでした。ホテルからタクシーかトゥクトゥクで来て、ここで借りるのも良いかも。
いざ遺跡地区に
気を取り直して、遺跡地区に。
ここポロンナルワ遺跡は、1017年にシンハラ王朝がアヌラーダプラから王都を移して以来、1255年までスリランカの首都でした。
王の庇護下、ポロンナルワは灌漑設備を発展させ、交易と農業で栄光時代を迎えます。
しかし、南インドからの侵攻を受け王は南へと遷都。ポロンナルワは放棄され、19世紀にイギリス人に「発見」されるまで、ジャングルの中に沈んだのでした。
1982年に世界遺産認定されてからは、アヌラーダプラ、ポロンナルワ、キャンディの3つを結ぶスリランカ文化三角地帯の一角として、世界中から観光客が訪れています。
遺跡地区はその中でも、宮殿跡や寺院、仏塔の集まるエリア。
まずは入り口を入ってすぐ左手、クワドラングル。
クワドラングルとは四角形に囲まれたエリアという意味。
かつて仏教都市としてのポロンナルワ の中心地だった場所で、城壁に囲まれた方形のエリアに11もの遺跡が点在していて、ポロンナルワ最大の見所になっています。
トゥーパーラーマ。ゲディゲ様式の仏堂。
奥の仏像は、上部の窓から入る朝日と夕日で照らされる構造になっているのだとか。
修復中でしたが、中に入ることはできました。
石板。
外壁のないところに立つ弥勒菩薩像。
ラター・マンダパヤ。蓮のカタチをモチーフにした読経所。
柱の上部が蓮の形になっています。
アタダーゲ。
11世紀にウィジャヤバーフ1世によって建てられた仏歯寺跡。
現在はキャンディにある仏歯(釈迦の歯)は、4世紀にインドからスリランカに渡来して以降、王権の象徴でした。
遷都の度に「ダラダ・マリガワ」(仏歯の宮殿、仏歯寺)が新たに作られ、そこに仏歯が祭られました。
ここに仏歯寺跡があることこそが、ここがポロンナルワ王都の中心であったことを示しています。
足だけになった仏像。
足から上は、壁に倒れ込んでいました。首から上も、またどこへ行ってしまったのでしょうか。
お隣の大きな寺院跡はハタターゲ。12世紀にニッサンカ・マーラ王が建てた仏歯寺です。
スリランカの伝統的な建築様式で、寺院の入り口に置かれています。彫られている動物たちは四苦の象徴で、ムーンストーンは『輪廻』を表している、と言われています。
二重の壁の奥には3体の仏像が。
手前には階段があり、二階があったことがわかります。
当時は木造の2階があり、そこに仏歯が安置されていたそう。
入り口の壁には、びっしりとなにかが書き込まれています。
クワドラングル中心部には、円形のワタターゲが。7世紀の仏塔跡。
今日は月曜日、バスで来た遠足?の学生がたくさん。白い制服が青空と茶色い遺跡のレンガに映えて綺麗。
みんな外国人に興味津々で、挨拶しに来たり自撮りして欲しがったり。この男の子、この旅で自撮りを求めてきたスリランカ人のなかでいちばんキマッてた。
中央部、4体の仏像のうち、1体は上半身がどこかに。
ガル・ポタ。当時のヤシの葉で作られた本を模した、長さ9m、幅1.5mの石誌。
7階建ての塔、サトゥマハル・プラサーダ。
タイの寺院と類似しているため、タイから来た建築士が建立したと言われています。
ポロンナルワ全盛期には、タイやビルマからたくさんの僧が留学に訪れていたそう。
クワドラングルを見終えて、さて、まずはいちばん奥を目指すことに。
なるべく涼しい朝のうちに奥まで行って、疲れたらすぐに帰れるように手前に戻ってこよう……という算段です。
道中、チケットチェックのガードマンには「観光スポット全部見逃してるよ?!」と心配されつつ、遺跡地区最北部、ティワンカ・ピリマゲ寺院(北院)に。
外部の彫刻が圧倒的。内部は写真撮影禁止でしたが、繊細な壁画が残されています。
すこし南へ戻ると、蓮の形をした池。
僧の沐浴場だったのだとか。
ダミラ・マハ・セヤ。
パラークラマ・バーフ1世が南インドより捕虜として連れ帰ったタミル人を使って建設しようとしてた仏塔。
完成していれば450m四方の基壇の上に高さ186m円周650mの半球の伏鉢が立つ史上最大の仏塔になったと言われています。
現在は修復中で、土台の形はよくわからず。風が吹くとベニヤがものすごい音を立てて、ちょっと怖い。
横に、上へと上れる道があったので登ってみました。
上には小さな仏塔が。
階段の途中にいた男性二人組、ずっと仲良さそうにお話していました。
お友達と世界遺産に行って、観光するでもなく、人気のない修理中の遺跡の横で風を感じながらお話……なんかすごく優雅に感じてうらやましかったです。
北側観光地を終えて、遺跡地区中央に戻ってきました。
売店がいくつか並ぶあたりでひと休み。ジュースの並ぶ冷蔵庫を眺めていたら、おかみさんが「冷たいココナッツがあるよ!」といって、私が何も言わないうちに割り始めてくれた。
(たぶん)人生初、生ココナッツ。甘くないポカリスウェットみたいな感じ?美味しくはないけど、冷たいから嬉しい、かな。
割って身も食べさせてくれます。スプーンは割ったココナッツの殻。
こちらは明確に美味しくない。なんかグニッとして味はほとんどない……。
(この売店のあたりに有料トイレがありました)
気を取り直して遺跡地区中部を観光。
先ほどガードマンさんに「見逃してるよ?!」と心配されたガル・ヴィハーラ。
ここは遺跡ではなく今も信仰されている仏教寺院で、大型の坐像、立像、涅槃像があります。これらはすべて、巨大な一塊の花崗岩から彫り出されているそう。
スリランカ国内には、彫像目的で自然の岩がここまで深く彫り込まれた例は他になく、シンハラ人の岩彫り技術と彫像芸術のすばらしさを感じることができます。
入滅する仏陀。欠けた腕の傷ましさを感じさせることのない、穏やかな表情。
向かいの遺跡群へと歩いていきます。
キリ・ヴィハーラ。
ランカティラカ。13世紀にバラークラマ・バーフ3世によって建立。圧巻の4階建て。
立像は高さ15m以上の立派なお姿。
ランコトゥ・ヴィハーラはポロンナルワ最大の構造物。高さ・直径ともに55m。
名前は「金の尖塔」を意味し、かつては尖塔部分が黄金で覆われていたと言われています。
さて、中央部の観光も終えて、残りは最南部にある宮殿跡のみ……
ここにきてふいに、脳裏に過ぎる嫌な予感が。「出口は専用だったんだから、入り口も入場専用なのでは……?」出口は、最北部にあります。
……ここで一番南まで行って、まだ北へ引き返せと言われたら……
暑さと恐怖でめまいを感じながら自転車を漕ぎます。最悪、入り口で熱中症になったと泣き落とすしかない……
泣きつくイメトレをしながら、遺跡地区南部へ。
閣議場。王と大臣が会議を開いた場所。
柱にはそれぞれ、大臣の名前が彫られたのだとか。
最奥にあるのはニッサンカ・マッラ王子の沐浴場。ほぼプール。
水の出てくる口は、ワニの彫刻だとか。私にはコイに見える、かな……
周りにはぐるっと、ライオンの彫刻。
最後に訪れたのはポロンナルワ宮殿跡。パラークラマ・バーフ1世が建てた12世紀当時は、なんと7階建てだったとか!
こんな巨大な建物を7階建てで建てられるとは、当時の技術力に圧倒されます。
やっと遺跡地区を見終えて、時間は12時半。
朝から4時間ずっと炎天下の下で自転車を漕いでいたので、頭痛がしてきて、なんだかふらふら。
ぜったいに近くの入り口から出たい……と覚悟を決めて入り口に戻ります。
係員さんに呼び止められた瞬間ドキーッとしましたが、チケットに退場印を押されただけで、無事に出してもらえました。良かった~😭
フラフラになりながら昼食へ
さすがにカロリーを摂取したい、できれば冷房も浴びたい……と思いながら、Googleマップで見つけたレストランに。
ここは外国人のあまり来ないだろうローカルで、もちろん冷房はなし。英語はほとんど通じず。
でも皆さん親切で、ちゃんとゆっくり注文も聞いてくれたし、お願いしたら扇風機をつけてくれました。
席に座って水を飲んでいたら、突然テーブルにおじいさんが座ってご飯を食べ出して衝撃!だったのですが、それとなく店員さんたちが別のテーブルに移動させてくれたし……無言で相席してくる人、老若男女国籍問わず、ちょっと怖い。
フライドチキンライス。チキンはパサパサ。ケチャップは甘め。でも美味しかったです。
ポロンナルワの感想
・もともとポロンナルワにはシーギリヤから日帰りで行く予定でしたが、一泊に変えてよかった!
①後述しますが、シーギリヤからのバスのアクセスがあまりよくない(シーギリヤからトゥクトゥクチャーターでポロンナルワの遺跡も全部回ってもらうならいいかも)
②ホテルがすごく良かった。田んぼビュー、朝食がとても豪華、おかみさんも親切。値段対比ならスリランカ全旅程でいちばん良かったかも
③初日になんの予定もなくぼうっと湖を散歩して、現地の人の日曜日の楽しみをおすそ分けしてもらえたことが本当に楽しかった
・遺跡をトゥクトゥクで回るべきか?自転車で回るべきか?
→暑すぎるので、体力のある大学生以外は自転車は厳しいかも……ただ、世界遺産エリアのトゥクトゥクはみんなぼったくってくるので、諦めの気持ちを持てることが必要です
・Googleマップにはエントランスとエグジットの概念が無い。俺はお前を絶対に許さない